
認可から開業まで:順番の決まった三つの関門
第一に期限内の認可受諾と会社登記・資本払込、第二に所定期間内の機械輸入と据付、そして開業許可(Open for Business)の申請、第三に開業許可の取得後に法人税免税期間が実際に起算されます。順序が入れ替わったり遅れたりすると、免税期間は目減りします。
延長申請は可能ですが、期限到来前に理由を付して提出する必要があり、工事進捗、受注、機械の到着証明などの添付が求められます。期限後に出す延長の成功率は明らかに低く、日系企業が最も多くつまずく箇所です。
機械・原材料の免税:申請より消込のほうが難しい
機械の免税は承認リストの範囲に限られ、輸入後もBOIの管理下に置かれます。処分、売却、用途変更には事前申請が必要です。原材料は枠と消込の制度で、輸入量と輸出量がシステム上で一致しなければならず、差額は追徴と罰金の対象になります。
実務上の問題は、在庫帳とBOIシステムのデータ不一致から生じます。品番の対応関係、歩留り、返品と廃棄の処理が典型です。当所は四半期ごとに帳簿突合を行い、差異が小さいうちに調整します。年度末の消込で初めて不足に気づく事態を避けるためです。
区分経理:免税事業と課税事業は混ぜられません
同一法人でBOI事業と非BOI事業を併営する場合、収益・原価・費用を区分して集計し、共通費は合理的な基準で配賦して根拠資料を保存します。税務調査でまず見られるのは、配賦方法に文書の裏付けがあるか、年度間で一貫しているかです。
欠損金の繰越も区分して計算します。BOI案件の欠損は免税期間終了後の一定期間に繰り越せますが、通常の会社とは規則が異なります。勘定科目体系はプロジェクト開始時に設計すべきで、途中からの組み替えは当初設計よりはるかに高くつきます。
年次実績報告と外国人枠
毎年、所定期間に実績報告を提出します。生産能力、雇用人数、投資額、輸出比率などが対象です。数値は財務諸表、社会保険の申告、通関記録と整合している必要があり、矛盾があれば実地調査の引き金になります。
BOI案件では外国人専門職のポジション枠を申請でき、これが労働許可とビザに直結します。人員が入れ替わった際は速やかに更新してください。退職者のポジションを抹消しないままだと、次の枠申請に影響します。給与・人事の業務フローと必ず結び付けて運用します。
よくあるご質問
- 免税期間は認可日から始まりますか。
- いいえ。法人税の免税期間は通常、奨励事業からの収入が生じた日から起算され、開業許可の取得が前提になります。開業許可を後回しにすることは、自ら免税期間を短くすることを意味します。
- BOI企業でも年次監査は必要ですか。
- 必要です。BOIの地位は会社法上の監査や商務省・歳入局への年次申告を免除しません。むしろ区分経理が求められる分、監査の作業量は増えるのが通常です。
- 実績報告を期限内に出せなかった場合は。
- 督促が届き、放置すると恩典の停止や取消し、既に受けた免税の追徴もあり得ます。督促を受けたら直ちに提出し、理由を説明してください。翌年度分とまとめて出すのは避けます。