
出願前の調査と区分戦略
ニース分類に基づき、区分ごとに出願と費用が必要です。飲食ブランドであれば第43類(飲食提供)、第30類または第29類(食品)、第35類(小売)を最低限押さえます。1区分だけでは、隣接区分で同名使用を止められません。
タイ語表記(音訳)の併願を強く推奨します。審査は発音の類似で判断されるため、ラテン文字だけの登録では、同音のタイ語商標が別途登録されてしまい、後から排除するのは困難です。
審査・公告・拒絶理由
出願から公告まで概ね10〜14か月、公告期間60日、異議がなければさらに3〜4か月で登録、全体で14〜20か月です。拒絶理由は識別力欠如、先行商標との類似、地理的名称の含有が中心です。
拒絶査定には60日以内に商標委員会へ不服申立てができ、その先は知的財産・国際貿易中央裁判所です。指定商品の限定、図形要素の追加、使用による識別力の立証が定石です。
先に取られていた場合の三つの選択肢
第一に異議・無効審判で悪意を主張し、海外登録証、販売インボイス、広告出稿記録、SNSの履歴といった先使用の証拠を出します。第二に不使用取消(3年)。第三に買戻しという商業的解決で、不本意ながら最短であることも多いです。
勝負を分けるのは日付の連続性です。まず資料を時系列に整理し公証を取り、そのうえでどのルートを取るかを決めます。
登録後の権利行使:税関・EC・訴訟
登録後はタイ税関への登録が可能で、通関段階で疑義貨物を止められます。費用対効果が最も高い手段でありながら見落とされがちです。
EC上の模倣品はShopee、Lazada、TikTok Shopのブランド保護窓口から削除申請ができます。実店舗の模倣にはDIPと警察の合同摘発を用い、刑事で圧力をかけつつ民事で損害賠償と廃棄を求めます。
よくあるご質問
- 日本の商標登録はタイでも有効ですか。
- 有効ではありません。商標権は属地的で、タイでの出願かマドリッド制度によるタイ指定が必要です。日本の登録証は先使用や悪意立証の証拠として機能します。
- マドリッド制度でタイを指定する方が有利ですか。
- 多国展開なら管理面で有利です。ただしタイ審査官は暫定拒絶を出すことが多く、現地代理人による応答費用を見込む必要があります。タイ単独ならば直接出願の方が早いことが多いです。
- 未登録でも模倣品を止められますか。
- 民商法典の不法行為や不正競争防止法に基づく主張は可能ですが、立証負担が重く救済も限定的です。進出前の出願をお勧めする理由がここにあります。