
在留ルートの選択:就労・家族・リタイアメント・LTR
就労(Non-B)は、外国人1名につき払込資本200万バーツ、タイ人従業員4名の社会保険加入が原則です。BOI認可企業はこの比率が免除され、ワンストップサービスセンターで手続きできます。日系の小規模拠点では、この比率が満たせずに駐在員を送れないという相談が最も多い類型です。
50歳以上のリタイアメント(Non-O/O-A)は80万バーツの預金または月額収入証明、家族帯同はタイ人配偶者・子との関係を基礎とします。LTRは10年の在留期間と個人所得税17%上限という利点がありますが、直近2年の年収8万米ドルなどの要件があります。どのルートも、後から乗り換える前提で初手を選ぶことが重要です。
ビザと労働許可証は別制度:順序を誤ると着任が遅れます
ビザは滞在の可否、労働許可証は就労の可否を扱う別々の許可です。自社の会議で意思決定をする、契約書に署名する——これらも労働許可証なしでは就労とみなされ得ます。通常は国外でNon-Bを取得して入国し、労働省で労働許可証を取得、その後に入管で1年の延長を申請します。
職務内容は外国人就労禁止職種を避けつつ、会社の事業目的・納税申告と整合させる必要があります。「総経理」のような包括的な肩書のままでは疑義を持たれやすいため、当所では申請前に職務記述書を具体的な職責へ書き直します。
90日レポート・TM30・オーバーステイ
90日ごとの居住地報告はオンライン・郵送・窓口のいずれでも可能ですが、遅延は罰金と記録に残ります。TM30は滞在先の届出義務で、更新審査の際に必ず照会されます。赴任直後の引越しやホテル滞在期間の届出漏れが、翌年の更新で表面化します。
オーバーステイは1日500バーツ、上限2万バーツ。90日を超えて自主出国した場合は1年以上、摘発された場合は5〜10年の入国禁止となり得ます。すでに超過している場合は空港で運任せにせず、事前に法的評価を受けてください。
不許可・退去・ブラックリストへの対応
不許可の多くは実体的な不適格ではなく、疎明資料の不足です。財務資料の作り直し、実体的な事業活動の立証、管轄の見直しを行ったうえで再申請すれば通る事案は珍しくありません。同じ不備のまま再申請を繰り返すことが、最も避けるべき対応です。
入国禁止や許可取消は行政処分であり、入管への再審査請求、必要に応じて行政裁判所への提訴が可能です。まず出入国記録と処分理由を取り寄せ、起算日と争点を確定してから手段を選びます。
よくあるご質問
- 観光ビザからタイ国内で就労ビザに変更できますか。
- 入国スタンプの種別と残存期間、会社側の要件次第で可能な場合もありますが、国外申請より不確実です。実務では在外タイ大使館でNon-Bを取得して入国する方が安全で、記録上も自然です。
- タイ人従業員4名を雇えない場合の選択肢は。
- BOI認可、駐在員事務所、地域統括本部などは比率要件の扱いが異なります。ただし在留目的だけで実体のない体制を作ると、後の更新や税務で必ず問題になります。事業実態に合う形を選んでください。
- 退職・帰任するとき、何を先に処理すべきですか。
- 労働許可証の返納、ビザのキャンセル、90日レポートの終了、社会保険の脱退を最終出社日に合わせて行います。順序を誤ると前雇用主が保証人のまま残り、後の罰則が会社に及ぶことがあります。