
許認可ルートと連系容量の確認が先
自家消費の屋根置き、系統へ売電する独立発電所、工業団地内でテナントへ供給する形態では、必要な許認可の組合せがまったく異なります。エネルギー規制委員会の発電許可、工場関連の許可、地方の建築・消防承認のいずれかが欠けると、検査段階で止まります。
最も過小評価されやすいのが連系容量です。同一フィーダーの受入容量には限りがあり先着順です。用地契約や機器の内金支払いの前に、当該連系点についての書面による容量確認を取得し、容量不足を解除条件または条件変更事由として契約に組み込みます。
PPAで実際に効く条項
単価以外では、出力予測の偏差に対するペナルティと免責範囲、出力抑制指令時の補償の有無、計量点と損失の帰属、決済サイクルと遅延利息、契約期間満了後の更新または資産処理の取扱いを重点的に確認します。
不可抗力と法令変更の条項は、政策変更時のリスク分担そのものです。規制変更の影響をすべて事業者側に寄せる建付けだと、レンダーは自己資本比率の引上げを求め、資金コストが上がります。交渉初期に譲ると後から戻せません。
土地権原とEPC契約
地上設置では、土地種別と工業利用の可否、外資保有が制限される区域に該当しないか、賃借登記が事業期間全体を覆っているかを確認します。三年を超える賃借は登記しなければ第三者に対抗できず、譲渡やファイナンスの場面で致命的になります。
EPC契約では、機械的完工と商業運転の定義、性能保証と実測方法、遅延違約金の日額と上限、留保金と銀行保証、モジュール保証の承継経路を明記します。屋根置きでは屋根構造の耐荷重責任と漏水責任の切り分けも同時に処理します。
外資ストラクチャーとBOI恩典
発電事業には外資比率と許認可の制約があり、合弁に株主間契約を組み合わせてガバナンスを確保する方法と、BOI恩典を取得して出資・用地面の便宜を得る方法があります。選択により将来のファイナンスとエグジットの自由度が大きく変わります。
BOI恩典は法人税減免と設備輸入関税免除をもたらす一方、投資・操業の実績要件と年次報告義務を伴います。恩典価値とコンプライアンス費用を同時に数値化し、正味での判断材料を本社に提示します。
よくあるご質問
- 自家消費の屋根置き太陽光でも許認可は必要ですか。
- 容量や第三者への売電の有無に応じて、登録または許可が必要になるのが通常です。自家消費のみでも建築構造・消防の承認と配電事業者への連系登録は必要で、未処理だと保険金請求や将来の譲渡に支障が出ます。
- 外国投資家はプロジェクト会社の株式をどこまで持てますか。
- 事業類型と許認可・BOI恩典の有無によります。高比率あるいは全額保有が可能な構成もあれば、タイ側マジョリティが必要な場合もあります。案件組成の初期に決める必要があり、後からの変更は許認可の再取得を伴いがちです。
- EPC業者が遅延した場合、いくら控除できますか。
- 契約で定めた日額と上限の範囲に限られ、定めがなければ実損の立証が必要で極めて困難です。遅延違約金、性能未達時の減額算式、銀行保証の三点は締結前に必ず確保してください。