
課税価格:関連者間取引が最も精査されます
タイはWTO評価協定に基づき、取引価格を第一の方法とします。関連者間取引が当然に否認されるわけではありませんが、関係が価格に影響していないことの説明が必要です。独立当事者間の同時期価格、移転価格文書、グループ方針との整合性の説明が典型的な立証手段です。
課税価格に加算されやすい項目は、ロイヤルティ、買手支給の金型や材料(アシスト)、到着までの運賃保険料、事後のリベート調整です。期末に価格調整を行う運用があるなら、その仕組みは調査時ではなく通関時に説明しておくべきです。
HS分類:番号ひとつの差が年間利益を消します
分類はHS品目表の通則と注釈に従い、タイはAHTNの8桁を用います。部品と完成品、セット品と分解輸送、複合機能製品が争点になりやすい類型です。善意の誤分類でも追徴義務は生じるため、新製品の導入前に事前教示(アドバンス・ルーリング)を取得するのが最も安価な対応です。
事前教示には拘束力があり、一定期間援用できます。長期・大量輸入の案件では特に有効です。申請時には技術仕様書、サンプル写真、機能説明を揃えます。税関が見るのは商流上の呼称ではなく、製品の客観的特性だからです。
原産地とFTA:特恵の対価は遡及的な立証責任です
日タイEPA、AJCEP、RCEPなどの特恵税率を用いるには、原産地規則を満たし有効な原産地証明を提出する必要があります。発給後の形式不備、バックトゥバック証明の接続、積替え時の直送要件の証明が、特恵否認の典型的理由です。
否認された場合、支払うのは差額ではなく全額の関税と罰金です。したがって輸入者は証明書だけでなく、供給者の原産地申告や製造工程資料も保管すべきです。検証手続は輸出国の製造者まで遡り、対応期間が数か月に及ぶこともあります。
調査・差押え・不服申立て:期限が戦略を決めます
調査通知を受けたら、資料提出と並行して直ちに社内レビューを行い、自主的に訂正すべき申告がないかを確認します。タイ関税法上、自主開示は摘発後の対応より有利に扱われ、罰則の幅に明確な差があります。
貨物が差し押さえられた場合は、担保を提供して先行解放を申請し、保管料と滞留コストの累積を止めます。処分に不服があれば税関内部の不服申立てと和解手続を経て、税務裁判所へ提訴します。各段階に厳格な期限があり、一つ落とすとその審級を失います。
よくあるご質問
- 本社から原価でインボイスを出していますが問題になりますか。
- 直ちに否認されるわけではありませんが、価格決定方法を説明できる必要があります。税関の関心は関係が価格に影響したかどうかで、移転価格文書とグループ方針が主要な証拠です。税務上の取扱いと申告価格が乖離していると必ず追及されます。
- 自主的に申告を訂正すると、かえって罰せられませんか。
- 自主開示は通常、罰則を大きく軽減し、故意の脱税と認定されるリスクを避けられます。実務では社内レビューと金額の試算を終えてから正式な手続で申し出るべきで、調査の現場で口頭で認めるのは避けてください。
- 保税倉庫や自由区の貨物も調査対象ですか。
- 対象です。重点は帳簿在庫と実在庫の一致、入出庫記録、最終仕向けの証明です。帳簿と実物が合わない場合、関税領域に引き取られたものとみなされ、全額の税負担が生じ得ます。