
タイで利用できる担保手段
不動産抵当は土地局での登記が必要で、被担保額に応じた登記費用がかかります。機械抵当は機械登記を受けた機械が対象です。動産質は占有の移転を要するため稼働設備には適さず、実務では事業担保制度が用いられます。
事業担保は、事業全体、売掛債権、在庫、知的財産、銀行口座などを占有移転なしに担保化でき、書面作成と商務省への登記が要件です。担保権者となれる主体が法令で限定されているため、ストラクチャー設計前に貸主が適格かを確認します。
株式担保と会社レベルのコントロール
タイ有限会社の株式については、譲渡担保、株主名簿への記載、撤回不能委任状などの組合せで実務対応します。担保契約書だけで会社側に痕跡を残さないと、実行段階で著しく困難になります。
財務制限条項、追加借入や関連当事者取引の制限、重要事項への貸主同意、デフォルト時の取締役指名権といった条項も併せて設計します。紛争の初期局面では、担保物そのものより早く効くことが少なくありません。
クロスボーダー貸付の税務と送金
国外への利息支払には源泉徴収が生じ、租税条約による軽減には居住者証明などの事前準備が要ります。過少資本や移転価格の観点から、関連者間貸付の金利には合理的な根拠づけが必要で、損金性にも影響します。
資金の受入れと元利金の送金は、銀行を通じて所定の手続と証憑保管を行います。実務では税務と送金の経路を先に確定させたうえで、貸付か増資かを判断します。長期の総コスト差は想定以上になることが多い論点です。
デフォルト後の手順
兆候を把握したら、まず担保登記が有効に存続しているか、担保物が現存するか、後順位の担保設定がないかを確認します。次に契約所定の方式で催告を行い、到達の証跡を残します。以後のすべての手続の前提になります。
その上で、任意の再建交渉、担保実行、法的手続のいずれを選ぶかを決めます。借主が破産・再生手続に入った場合、担保権者の地位と議決権は一般債権者と異なるため、期限内の債権届出と担保権の主張が決定的です。徒過の影響はほぼ回復できません。
よくあるご質問
- 本社から子会社へ直接貸し付ける場合、タイ側で必要な手続は何ですか。
- 貸付自体に事前承認は通常不要ですが、利息支払には源泉徴収と申告が伴い、資金の出入りは銀行を通じた目的申告が必要です。担保を設定する場合はタイでの登記が必須で、国外で署名した担保書類には認証とタイ語訳が求められるのが通常です。
- 外国法人が事業担保の担保権者になれますか。
- 事業担保の担保権者には適格要件があり、法定の金融機関等に限られます。外国の貸主は、適格主体に担保を保有させる、あるいは他の担保手段を組み合わせる方法を取ります。実行前にストラクチャーを確定させてください。
- 抵当権の登記費用はどの程度ですか。
- 被担保額に対する一定割合で、上限が設けられています。ほかに印紙税等も生じます。被担保額を高く設定すれば即時の現金支出が増え、低すぎれば債権を賄えません。分割実行の計画と併せて設定額を決めるのが通例です。