公的手数料は算定基準が公開されている
会社登記の手数料は登録資本に連動し、下限と上限が定められています。土地の移転では、評価額に対する移転登記料、保有期間と取得原因により特別事業税または印紙税、さらに売主側の源泉徴収が別々に発生します。民事訴訟の申立手数料は訴額に応じた区分制で、上限があります。
したがって不確実なのは手数料そのものではなく、自社の取引がどの基準に当たるかです。評価額と実勢価格の差、保有期間が五年を跨ぐか、こうした前提で結果が大きく変わります。見積の前に必ず確認します。
専門家報酬が動く四つの要因
同種の案件でも費用差が出るのは、海外書類の公証・領事認証の要否、当事者がタイ国内にいるか、追加の許認可が必要か、そして外部期限(調印日、口座開設、上訴期間)に間に合わせる必要があるか、の四点です。
当事務所は一式いくらではなく、この四点を踏まえた作業項目に分けて提示します。どれが官公庁の収納、どれが当方の報酬、どれが銀行・土地局・大使館など第三者側で発生する実費かを、着手前に一覧で確認いただけます。
期間:自社で短縮できる部分はどこか
短縮できるのは書類準備です。日本企業で最も多い遅延は、本社側の登記事項証明書・委任状の認証手続きと、委任文言が受理されない差し戻しです。ここを二週間前倒しするだけで全体が大きく縮みます。
短縮できないのは官公庁の処理と裁判所の期日です。民事第一審は通常8〜14か月、控訴・上告でさらに12〜18か月。土地局での移転は予約と書類が揃えば当日完了、VAT登録は実地調査の有無により3〜10営業日です。日数を断言する説明には根拠を確認してください。
費用と期間に関するご質問
総額の見積は最初に出せますか。
構成と幅はお出しできます。ただし登録資本、当事者の所在、許認可の要否、書類の認証状況が確定するまで単一の総額に意味はありません。最初の打合せでこれらを固定してから、内訳の分かる見積を提示します。
土地取引の税負担はどちらが持ちますか。
法律上の強制割付はなく、契約で定めます。移転登記料を折半、特別事業税と源泉徴収は売主、という配分が実務上多いものの交渉可能です。手付契約の前に明記することをお勧めします。
訴額が大きいと申立手数料も青天井ですか。
区分制で上限があるため、一定額を超えると比例して増えません。規模に応じて増えるのは弁護士の作業量と、鑑定・翻訳・送達などの実費です。
就労許可が会社登記より時間がかかるのはなぜですか。
会社登記は書類の充足だけを見ますが、就労許可は登録資本、タイ人雇用比率、社会保険登録、職務内容の妥当性まで審査されます。いずれか一つが欠けると、そこを整えてからの申請になります。
支払は分割できますか。
着手時・提出時・完了時の段階払いが標準です。公的手数料は提出当日に実費で必要となるため、別建てで明示し領収書を添付します。
途中で取引が中止になった場合の精算は。
完了済み段階の報酬は返金対象外、未着手の段階は請求しません。納付済みの公的手数料は各官庁の規定により多くが返還されないため、納付前に必ずご説明します。