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TLAS · 日本語デスク · 選択肢の比較

着手前に経路を決める:日系のお客様が必ず迷う四つの分岐

タイでの手戻りの多くは、手続そのものではなく最初の選択で決まります。法人形態は請求書を発行できるかどうかを左右し、認証の種類は日本側で書類が受理されるかを左右し、経理体制は税務調査のときに誰が説明に立つかを左右します。本社への稟議に添付できる形で、判断材料を並べました。

現地法人 と 駐在員事務所:売上を立てられるかが分岐点

現地法人は契約締結、税務インボイスの発行、代金回収ができ、日本人駐在員の労働許可枠も確保できます。その代わり月次の付加価値税と源泉税の申告、決算後の法定監査が義務になります。駐在員事務所は収益活動が禁じられ、調達検査や市場調査、本社との連絡に限られ、経費は本社送金で賄います。

駐在員事務所を安価な進出手段と考えて設置し、最初の入金の時点で無許可営業に該当してしまう例が繰り返し起きています。判断は単純で、タイ側で請求書を出して回収するかどうかです。

在留・労働許可の枠も異なります。現地法人は払込資本とタイ人従業員数に応じて枠が計算されますが、事務所は枠が固定的で、帯同家族のビザ要件も厳しくなります。

BOI 恩典 と 一般外資:優遇と報告義務は一体

BOI の投資奨励は対象業種に限られ、認可されれば全額出資、法人所得税の減免、外国人枠の弾力運用が得られます。同時に投資進捗報告と雇用報告の提出が続き、未達なら恩典の取消しや追徴の対象になります。

対象外の業種であれば、外国人事業許可(FBL)の取得か、タイ側株主を含む適法な資本構成を検討します。本社が「過半数出資でなければ稟議が通らない」という前提で動く場合は、議決権種類株と取締役指名権で実質的な支配を確保する設計が現実的です。

公印確認・アポスティーユ と 領事認証:提出先が決める

タイは二〇二四年からハーグ条約の運用を開始しましたが、日本側の提出先が領事認証を求める場合は従来どおりの経路になります。登記所や金融機関は受理基準が異なるため、着手前に提出先へ形式を確認するのが最短です。

順序は変えられません。タイ登録公証人(NSA)の署名または官公署の原本発行、次にタイ外務省、必要に応じて在タイ日本国大使館という流れで、どれか一つを飛ばすと最初からやり直しになります。

自社経理 と 会計事務所委託:責任の置き場所

自社経理は伝票量が多い製造業で費用面の利点がありますが、申告責任は代表者に残り、担当者の帰任時に帳簿の引継ぎが途切れる事故が起きます。委託の場合は TFAC 登録者が署名し、調査の場で説明に立ちます。

実務では折衷が多く、日常入力は現地スタッフ、月次レビューと申告、監査法人対応は事務所という分担です。本社報告用の月次パッケージを日本語で整える点まで含めて委託範囲を決めると、期末の負荷が平準化します。

よくある質問

駐在員事務所から現地法人へ切り替えられますか。

直接の組織変更はできません。新たに法人を設立し、人員と賃貸借を移したうえで事務所を閉鎖する手順になり、数か月の並行期間が生じます。

BOI 認可があれば外国人事業許可は不要ですか。

認可範囲の事業については BOI の証明により外国人事業証明書を取得でき、個別申請に代えられます。範囲外の事業は別途申請が必要です。

アポスティーユのほうが必ず早いのですか。

提出先が受理する場合は往復が一回減るため短縮されます。受理しない提出先に出すと二度手間になるため、事前確認が前提です。

経理を委託すれば税務リスクも移りますか。

移りません。申告義務は会社と取締役に残り、事務所は専門家としての過失責任を負います。各期の申告控えは必ずお渡しします。

支店と子会社はどちらが有利ですか。

本社が債務を直接負担でき、工期の定まった案件であれば支店が資金面で柔軟です。長期営業と将来の持分譲渡を見込むなら子会社が明快です。

途中で方針を変更する費用はどの程度ですか。

登記申請前なら軽微です。営業許可取得後の構造変更は税務上の清算と雇用契約の巻き直しを伴い、費用と期間が大きく増えます。

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